国際的な飲料メーカー、レッドブルが買収した大宮アルディージャが生まれ変わりつつある。
チーム名が「RB大宮アルディージャ」に変わり、新しいエンブレムも発表された。複雑な思いでその変化を見ているが、資金力を誇る国際的な企業がこの先、どんな手を打ってくるのか、興味は尽きない。
買収額は3億円程度と伝えられている。いくらなんでも安すぎるという反響があるなか、Jクラブの企業価値を試算した論文が注目されている。
Jリーグで専務理事を務めた木村正明・東大特任教授らがまとめた。Jクラブが過小評価されていることを示す狙いだったという。だが、欧米との比較から見えてきたのは、国内のプロスポーツ界がここ30年で大きく立ち遅れたことと、意識改革の必要性だ。
Side Change
サッカーを30年以上にわたって取材してきた潮智史記者が独自の視点でつづるコラムを連載でお届けしています
木村さんらは80を超える海外の論文や文献をもとに、企業価値を算定する要素や変数を割り出していった。
要素として大切なのは、売上高、チーム人件費率、選手の市場価値、SNSフォロワー数、放映権料、スタジアムを保有しているかなど。利益の大きさは企業価値とは関連が薄いこともわかった。
最終的には、大手の国際会計事務所が推計している欧州クラブの評価額をもとに、2種類の算定式を導き出した。①売上高とSNSフォロワー数、②選手の市場価値とSNSフォロワー数を用いた二つだ。
Jリーグのトップは浦和で、①で242億円、②だと61億円。続いて川崎が①211億円、②で53億円、横浜マが①194億円、②43億円となる。
ここで見えてきたのが、欧州とJクラブの大きな違いだった。
欧州クラブの場合、二つの算…